ばな系イベントの開き方
■ばな系イベントを開こう!
今回は,連載第一回目なので,本誌編集長からは「Wikiを紹介する内容を」と依頼されたのですが,Wikiばなを開催してきたしばむらが執筆できる唯一のチャンスなので,今まで培ったノウハウをもとに,「ばな系イベント」の開催の仕方についてご紹介することにしました.
ばな系イベント.聞きなれない言葉です.これはWikiばなから発生した,「濃くて有意義な技術系ミーティングを簡単に開ける」方式の1つで,「会議というほど堅くはないが,ただの雑談にならないのは,参加者がそれぞれ「ポジションペーパ」を準備するところに肝がある」話し合いの場です.(*1)
Wikiばなの「ばな」は「話」です.この「ばな」はWiki以外でも,例えばセキュリティに関する話し合いをしたければ,セキュばな,など,無限に展開できます.「ばな」はエキサイティングな話し合いの場です.たくさんの「○○ばな」があちこちで開花したらどんなにおもしろいでしょう.そんな「○○ばな」を総称して,「ばな系イベント」と名づけました.
ばな系イベントは,単に楽しむだけではなく,技術者にとって,モチベーションを維持したり,刺激を受けるのに良い,ひとつの方式です.インターネットや雑誌,書籍から情報を入れることも刺激になりますが,また,人と会って話をすることも大きな刺激です.中でも,ある特定のテーマに興味あるメンバーと,ポジションペーパを利用し,また,なるべくアイディアや情報をぶつけ合うブレーンストーミング方式の話し合いをすることは,エキサイティングな経験です.
本誌を手に取る読者の方々の中にも,モチベーションの向上や刺激を受ける方法について,考えてらっしゃる方がいらっしゃると思います.学校で,職場で,またインターネットの仲間で,気軽に濃くて有意義なミーティングを開き,互いに刺激を得る方法として,今回のばな系イベント開催のハウツーを3つのポイントに絞りご紹介します.(今回はWikiの話ではありませんのでご注意ください.)
■ばな系イベント,3つのポイント
ばな系イベントのポイントを3つにまとめると「ポジションペーパ」「ブレーンストーミング風味」「少人数制」です.
1.ポジションペーパ(*2)
ポジションペーパとは「立場表明書」を意味します.参加者各自がテーマに関する現在の自分の立場を一枚紙(*3)にまとめます.形式はプレゼン,論文,イラスト等を問わない自由形式でも良いですし,あらかじめ設定された簡単な質問に対する回答を箇条書きにしたような形式でも良いでしょう.
参加者は5分づつ,そのペーパーを元に自己紹介を行います.時間は厳守してください.でないと,ポジションペーパ発表会に終わってしまい,肝心の話し合いができません.ばな系イベントは話し合うことが目的です.ペーパはそのための自己紹介アイテムです.(そのため,あらかじめ人数分コピーして,参加する全員が配付し,発表することが重要です.)
2.ブレーンストーミング風味
ブレーンストーミング(以下,ブレスト)とは直訳すれば「脳内嵐」です.アイディア創出のためのディスカッションの形式ですが,大きな特徴は,思いついたことを気軽に発言,他人の発言の批判を禁止,アイディアの質より量,他人のアイディアに乗っかる,という4つの点です.
Wikiばなではアイディア創出という成果を求めませんが,参加者各々が新しい発見や,刺激を得るため,ブレストの特徴を取り入れた話し合いを心がけています.
3.少人数制
一人当たりの発言を活性化させるため,また,なるべく集中してブレストを行うため,4〜5人の少人数グループにします.グループ表はあらかじめ作成しておくと時間の節約なります.グループ表は当日,発表することで参加者の楽しさが増すようです.
また,一般的に言われる集中力が持続する時間から,30分〜40分ごとにグループ替えを行います.こうすることでより多くの参加者同士が話し合えるのがメリットです.
なお,ポジションペーパの発表は,この少人数グループごとでも良いですし,全員で最初に一度に行い,その後少人数グループに分かれるでも構わないです.母体人数によって工夫してください.
2,3回グループ替えを行っても時間に余裕がある場合は,その時間を使って,全員で,どんな話題が出たか,どんな話題に興味を持ったかなどを発表しあってもらいます.必ずしも全員が語る必要はなく,司会者が立ち,ラフなスタイルで指名したり挙手したり,その場の雰囲気に合わせて話を転がすと良いでしょう.
■おわりに
次回からは,本格的にWikiの記事が連載されますのでどうぞご期待ください.
■表 イベント開催の小さなTips
| スタッフ | 会計,受付,司会,タイムキーパ,雑用,ダンドリストなどの役割が必要です.お金の取扱は神経を使うものですので,会計役は専任をお勧めします.それ以外の役割は兼任でも構いません.また,最低1名は話し合いに参加せず,全体を見て雑用や調整に専念すると進行がスムーズになります.ダンドリスト(全体の段取り/旗振り役)はテーマやルール,日時場所,スタッフの調整や決定などを行います.コーディネータ,主催者などと呼んでも構わないです. |
| 場所 | 勤労福祉会館系列(全国)は勤労者にとって会議室が借りやすいのでお勧めです.また各地方自治体のホームページやガイドブックに会議室の案内があります.公共施設は,設備や規模にもよりますが,費用は千円台〜1万円程度/半日です.まれに参加者全員の個人情報提出を求められますが,そういうところは避けた方がメンバー募集の手間がかかりません.民間ではルノアールなどのチェーン系列の喫茶店に貸し会議室があります. |
| 資料配布 | 意外にも時間が取られるのがポジションペーパの配布です.一番,時間を取らない方法は,ペーパを一列に並べ,それを逆ベルトコンベア方式に人が動いて取って行く方法です.遅刻者の分は,雑用係が各グループに配布します. |
(註)
*1 「」内の言葉は,Teck総研のコラム「電網“Tech人”ニュースウォッチ」の2004年7月30日の回でただただしさんがWikiばなを取り上げ,評してくださった言葉です.http://rikunabi-next.yahoo.co.jp/tech/docs/ct_s02800.jsp?p=nwb009
*2 江渡浩一郎さんによる「ポジションペーパ方式」より http://eto.com/d/0403.html ばな系イベント向けとして加筆修正をしばむらが行いました.
*3 ポジションペーパーのサイズはA4が一般的ですが,ケースに応じてA5や名刺大など工夫しても良いでしょう.ただし,各々がばらばらなサイズではなく,全員のサイズを統一しておくことを推奨します.